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スーツケースを捨てた日のこと。

DSC05293 (1) 旅の記録
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最初から身軽だったわけではない。


2016年、初めての海外一人旅——ロンドン

初めての海外一人旅の行き先は、ロンドンだった。

目的は観光だけではなかった。BarbourやCordingsでマッキントッシュを買い、ノーザンプトンまで足を伸ばして靴を探す。そのために、スーツケースを受託手荷物として預けた。戦利品を持ち帰るための、必要な選択だった。

荷物自体は多くなかった。ただ、スーツケースという「器」がそこにあった。


2019年、セブ島へ——3ヶ月という旅

次の大きな旅はセブ島。期間は3ヶ月。

さすがにこの期間ではスーツケースが必要だった。生活に近い旅だったから、荷物の量もそれなりになった。

語学学校でのバッチメイトたち、現地で出会った人たち。国籍も年齢もバラバラな人間が同じ屋根の下で生活し、同じ時間を過ごす。日本では起きない種類の出会いが、3ヶ月の間にいくつもあった。

オスロブでジンベイザメと一緒に泳いだ日のことは、今でも鮮明に覚えている。あの巨大な生き物と同じ海の中にいるという非日常が、旅でしか味わえないものの存在を改めて教えてくれた。

このセブ島での3ヶ月が、「旅人として生きていきたい」と思うようになった、ひとつの大きなきっかけだった。


コロナ禍、国内を巡る

海外に行けない時期、GO TOトラベルを使いながら国内を巡った。

国内旅行にスーツケースは持っていかなかった。バッグひとつで電車に乗り、気の向くままに移動する。その身軽さが、思いのほか快適だった。

「スーツケースがないと、こんなに楽なのか。」

その感覚が、頭の片隅に残った。


2023年、コロナ禍明けの海外——ゴールドコースト

ようやく普通に海外へ行けるようになった2023年。この年から、誕生日を海外で過ごすことにした。

最初に選んだのはオーストラリア・ゴールドコーストだった。

出発前、カメラや財布を入れるためのバッグが欲しくなり、Bradyを購入した。ボストンバッグとBradyの二刀流。このスタイルで、スーツケースなしの海外旅に初めて挑んだ。

実際、さほど困ることはなかった。

到着してすぐ街に出られる。移動が軽い。荷物を気にせず、次の場所へすぐ動ける。スーツケースがなくても旅はできると、身をもって確認した旅だった。


こうして、今のスタイルができあがった

ロンドンで荷物を預け、セブ島で3ヶ月暮らし、コロナ禍の国内旅で身軽さを知り、ゴールドコーストで海外でも通用すると気づいた。

じわじわと、荷物が削られていった。

今はBillinghamのバッグとBradyの二刀流で旅に出る。カメラはSONY α6400、動画はDJI Osmo Pocket 4。服は数日分、厳選したカード数枚。それだけで、どこへでも行ける。

スーツケースを手放したのは、ある日突然の決断ではなかった。旅を重ねながら、自然とたどり着いた場所だ。

荷物が軽くなるほど、旅の密度が上がる。それが今の、偽らざる実感だ。

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