最初から身軽だったわけではない。
旅の期間や目的によって、必要な荷物はそのつど違った。今の「機内持ち込み手荷物1つ+身の回り品1つ」という形も、ある日決めたわけではなく、10年ほどかけて少しずつ変わってきた結果だ。
2016年、ロンドン。スーツケースが必要だった
初めての海外は、2016年のロンドンだった。それが、一人旅でもあった。

目的は観光だけではなかった。BarbourやCordingsでコートを探し、ノーザンプトンまで足を伸ばして靴を見て回った。買ったものを日本へ持ち帰る必要があったので、スーツケースを受託手荷物として預けた。
海外旅行にはスーツケースを使うものだと、当時は特に疑っていなかった。旅の目的から考えても、それが自然な選択だった。
2019年、セブ島。3か月なら、まだ必要だった
次の大きな旅はセブ島。期間は3か月だった。
これだけの期間になると、短期旅行というより生活に近い。服や日用品もそれなりの量が必要になり、スーツケースを使うことに違和感はなかった。
語学学校では国籍も年齢もばらばらな人たちと同じ時間を過ごした。オスロブでジンベイザメと泳いだ日のことも覚えている。この3か月が、旅を生活の一部として考えるようになったきっかけのひとつだった。
コロナ禍、国内を歩いて知った身軽さ
海外に行きにくい時期は、国内を旅した。
国内ではスーツケースを持たず、必要なものをバッグに入れて電車に乗ることが増えた。階段の上り下りや乗り換え、到着してからの移動。大きなケースがないだけで、ずいぶん動きやすいことに気づいた。
このとき初めて、「旅によってはスーツケースがなくてもいい」という感覚が生まれた。
2023年、ゴールドコースト。海外でも持たずに歩けた

2023年、久しぶりに海外へ出た行き先はゴールドコーストだった。
このとき、海外旅行で初めてスーツケースを使わなかった。移動用のボストンバッグに、カメラや財布を入れて街を歩くためのBrady AVONを合わせた2バッグ構成にした。
実際に旅をしてみると、特に困ることはなかった。海外だからスーツケースが必要、という思い込みが、この旅で薄くなった。
2025年、6カ国を2バッグでつないだ

2025年は、クアラルンプールからロンドン、プラハ、ウィーン、ベネチア、バルセロナまで、6カ国を13泊でつなぐ旅になった。
このときの荷物は、Billingham CANVAS 305とBrady AVONの2バッグ。機内持ち込み手荷物1つと身の回り品1つという構成で、LCCを含む空路や都市間バスを使いながら複数の都市を移動した。
CANVAS 305には衣類やガジェットなど、滞在全体で必要なものを入れた。ホテルに着いたあとは基本的に部屋へ置いていく。AVONにはα6400、財布、モバイルバッテリーなど、その日必要な分だけを入れて街を歩いた。この旅で、今の2バッグ構成がひとつの形として定着した。
バッグを一つにしたわけではない
スーツケースを使わなくなったからといって、バッグを一つにまとめたわけではない。
都市間を運ぶ荷物と、街を歩くときの荷物。この2つを分けている。ホテルに着いたあと、都市間移動用の荷物を毎回持って出る必要がない。それだけでも、街へ出るまでの切り替えはずいぶん軽くなった。
荷物を減らすことが目的ではない
荷物を極端に減らすことを目指しているわけでもない。
写真を撮りたいのでα6400を持つ。動画も撮るし、充電器やモバイルバッテリーも持つ。服も必要な分は持っていく。
減らしたいのは、移動するたびに気にしなければならないものの数であって、旅に必要なものそのものではない。
今の形は、何度か旅をした結果だった
ロンドンで荷物を預け、セブ島で3か月生活し、国内旅で身軽さを知り、ゴールドコーストで海外でもこの形で困らないと分かった。2025年の6カ国周遊では、今の2バッグ構成が定着した。
長期の滞在や、旅の目的によっては、これから先またスーツケースを使うこともあるかもしれない。それでも今のところ、機内持ち込み手荷物1つと身の回り品1つのこの形が、自分にはちょうど合っている。
10年かけて、旅のたびに必要なものを見直してきた。今の荷物は、その積み重ねの先にある。

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