9年ぶりのロンドンへ。40歳の誕生日を過ごした3泊4日

夕暮れのウェストミンスター橋と国会議事堂、明かりが灯ったBig Ben 旅の記録
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ロンドンには、9年前に一度来ている。

靴職人を目指していた頃だった。海外へ出るのは初めてで、HISのフリープランでホテルだけを押さえ、あとは何も決めずに飛んだ。行き先をロンドンにしたのは観光のためではなく、そこを拠点にノーザンプトンへ行きたかったからだ。英国靴のファクトリーを、自分の目で見ておきたかった。

日帰りで往復したその街で、Crockett & Jonesの靴を2足買った。セミブローグのCoventryと、ストレートチップ。ストレートチップは後に人の手へ渡り、Coventryは今も手元にある。ロンドンではLock & Co.でハンチングをオーダーし、BarbourとCordingsでコートを買った。

あれから9年が経ち、2025年5月24日に40歳になった。誕生日を海外で過ごすようになったのは2023年からで、この年に選んだのがロンドンだった。クアラルンプールから始まった6カ国の周遊の、2都市目にあたる。

9年ぶりのロンドンへ

ヒースローを出ると、空は晴れていた。9年前の滞在も晴れの日が続いていたので、自分のロンドンの記憶には意外と青空が多い。

青空の下に立つWaterloo駅のサイン。ロンドン地下鉄のラウンデルと国鉄マークが並ぶ

地下鉄に乗り、Waterloo駅で降りた。駅のサインには、ロンドン地下鉄のラウンデルと国鉄のマークが並んで掲げられている。ホームから地上に上がると、赤い二階建てバスが角を曲がっていくところだった。9年前も同じ景色を見ている。

この旅の荷物は、Billingham CANVAS 305とBrady AVONの2つ。都市を移動するときは両方を持ち、街を歩くときはBillinghamをホテルに置いて、Brady AVONだけで出る。ロンドンでもその形は変わらなかった。

この周遊ではeSIMを使っていて、ロンドンは2カ国目。到着時にはすでに切り替え済みで、ヒースローを出たあとも地図をそのまま使えた。

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Waterlooから始まった3泊4日

最初の宿はHampton by Hilton London Waterloo。駅から近く、地下鉄とバスのどちらにも出やすい場所だった。

ホテルのフロントで選んだTyrellsのポテトチップスとOrangina

チェックインのとき、Hilton HonorsのMyWay特典でスナックと飲み物を選んだ。フロントに並んだ中から、TyrellsのポテトチップスとOranginaを取って部屋へ持ち込む。長距離の移動のあとで、着いてすぐ買い出しに出なくて済むのはありがたい。

部屋にBillinghamを置くと、そのまま外へ出た。Brady AVONを提げてロンドン中心部へ向かい、Westminster周辺まで歩いた。国会議事堂の壁面が続き、その先にBig Benが立っている。時計の文字盤に明かりが入る頃には空も暗くなり、テムズの対岸にはLondon Eyeの輪郭が浮かんでいた。着いた初日から、夜まで歩いた。

40歳の誕生日。Borough MarketからRulesへ

翌朝、5月24日。夜にはRulesの予約を入れてあった。

Hampton by Hiltonで朝食を済ませ、Borough Marketへ歩いた。この滞在で、初めて空が曇った。

市場の中でカフェラテを飲んでいると、屋台のひとつで大きな鉄鍋のパエリアが仕込まれていた。湯気が上がり、海老が鍋の中で色を変えていく。食べたかったが、朝食のすぐあとだった。一度ホテルへ戻ってシャワーを浴び、チェックアウトを済ませてから、もう一度Borough Marketへ引き返した。

Borough Marketの大きな鉄鍋で仕込まれるパエリア

受け取ったパエリアは、大きな海老とムール貝が米の上に乗っていた。座る場所を探すでもなく、立ったまま食べる。誕生日の昼は、Borough Marketのパエリアになった。

そこからLondon Bridge、Tower Bridge、Gherkin、Leadenhall Marketと歩いた。テムズを渡り、古い橋と現代的なオフィスビルが同じ視界に入る区間を抜けていく。路地の奥から見上げたThe Shardは、上のほうが霧に消えていた。その手前でUnion Jackが翻っている。晴れていた前日までとは、街の見え方が変わっていた。

霧の中に上部が消えるThe Shardと、その手前で翻るUnion Jack

午後、この日の宿The Gantry London, Curio Collection by Hiltonにチェックインした。Stratfordにあるホテルで、窓の外にはWestfieldの街並みが見える。

The Gantry London, Curio Collection by Hiltonの客室。ブルーの造作収納と縦長の鏡、旅行用トランクを思わせるサイドテーブル

客室にはブルーの造作収納があり、縦長の鏡が壁に据えられていた。ベッドの脇には、旅行用のトランクを思わせる形のサイドテーブルが置かれている。その隣にBrady AVONを下ろし、シャワーを浴びて身支度を整えてから店へ向かった。

Rulesは1798年創業。店の前に立つと、バーガンディの庇に「EST 1798」と金文字が入り、その下に London’s Oldest Restaurant と書かれていた。

Rulesの外観。バーガンディの庇にEST 1798とLondon's Oldest Restaurantの文字
壁一面に絵画と額縁が並ぶRulesの店内

扉を開けると、壁が絵画と額縁で埋まっていた。空いている面がほとんどない。その間に鹿の頭がいくつも掛かっている。給仕は黒い服で、テーブルの間を絶えず行き交っていた。

牡蠣から始まった。銀の皿に氷を敷き、レモンが添えられている。メインは兎のカスレ。銅鍋のまま運ばれてきて、白インゲン豆と煮込まれた兎の脚が沈み、上に黄金色のパン粉が散らしてあった。鍋から直接取り分けて食べる。デザートはスティッキートフィープディング。

Rulesで食べた兎のカスレ
Happy Birthdayと書かれた皿とキャンドル付きのアイスクリーム

そのあと、頼んでいない白い皿が出てきた。アイスクリームにキャンドルが立ち、皿にはチョコレートソースで Happy Birthday と書かれている。火の点いたキャンドルを前にしていると、周りのテーブルの客からも祝いの言葉をかけられた。ひとりで予約した誕生日の席で、最後は周囲の客からも祝われることになった。

このロンドン滞在で写真に使っていたのは、SONY α6400とE 18-135mm。2025年の6カ国周遊では、この組み合わせを主力にしていた。

日曜の朝、Stratfordから運河沿いを歩く

翌朝、The Gantryで朝食を済ませてチェックアウトした。次の宿はThe Westminster London, Curio Collection by Hilton。チェックインまで時間があったので、歩くことにした。

Queen Elizabeth Olympic Parkの周辺を抜け、Hackney方面へ進む。運河沿いに出ると、ナローボートが何艘も係留されていた。細長い船体が岸に沿って並び、対岸の壁にはグラフィティが描かれている。空は青く、日曜の朝は人通りも少なかった。運河沿いを進み、1時間以上歩いてサンデーローストの店に着いた。

ロンドンの運河沿いに並ぶナローボートと対岸のグラフィティ

この旅で履いていたのは、ジャランスリウァヤのダブルモンク。EDWARDラストのバーガンディで、10年近く履き続けている一足だ。ソールはダイナイト。1時間以上歩いたあとも、足に痛みは出ていなかった。

靴下はHALISONのロングホーズで、この日はパープルを合わせている。バーガンディの靴に、紫の靴下。この組み合わせを選んで履いてきた。

サンデーローストはラム肉を選んだ。皿の上にヨークシャープディングがそびえ、グレイビーとミントソースが添えられている。先に出てきたフォカッチャとバターだけでも、それなりの量があった。

サンデーロースト。ラム肉とヨークシャープディング、グレイビー、ミントソース

Savile RowとJermyn Street。9年前につながる場所へ

The Westminster Londonへは、チェックイン前に客室アップグレードの通知が届いていた。案内されたのは、予約していたクイーンルームより広い部屋だった。

The Westminster Londonの客室。TWのモノグラム入りクッションが並ぶベッドと窓辺の紺色のベンチ

通路にコーヒーコーナーがあり、その奥は歩いて入れるクローゼットになっている。寝室には深緑のヘッドボード、TWのモノグラムが入った紺色のクッション、窓辺のベンチ。荷物を置いて、そのまま中心部へ出た。

Savile Rowでは、No.1 Savile Rowと刻まれた真鍮のプレートの前に立った。9年前もこの通りを歩いている。

St James’s StreetにはLock & Co.がある。9年前、Northern Tailorで仕立てたツイードジャケットの残布を持ち込み、この店でハンチングをオーダーした。その帽子は今も手元にある。この日は前を通り過ぎただけだった。

No.1 Savile Rowと刻まれた真鍮のプレート
Crockett & Jones Northampton Englandと書かれたJermyn Streetの店舗外観

Jermyn StreetではCrockett & Jonesの店の前に立った。看板には Crockett & Jones Northampton England とある。9年前、そのノーザンプトンでCoventryとストレートチップを買った。今回は何も買っていない。店の前に立って、そのまま歩き出した。

このあたりは英国の服と靴の店が続く一帯で、通りを移りながらしばらく歩いた。Trafalgar Squareに着いた頃には夕方の光が入り、ネルソン記念柱と噴水が斜めの光を受けていた。街角では、逆光の中を赤いバスが通り過ぎていった。その後、Westminsterまで歩き、再びBig Benと国会議事堂を見上げた。

Coventry、Lock & Co.で誂えたハンチング、BarbourとCordingsで買ったコート。9年前のロンドンから持ち帰ったもののいくつかは、今も手元にある。今回、Lock & Co.でもCrockett & Jonesでも買い物はしていない。

ロンドンを離れる朝、荷物をまとめてSt Pancras方面からLuton Airportへ向かった。Heathrowから入って、Lutonから出ていく。次に乗るのはWizz Airだ。

次の目的地はプラハだ。

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